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害虫の特徴と防除

食品の害虫(10) ゴミムシダマシ

特 長

 ゴミムシダマシ類(ゴミムシダマシ科)は世界に約16000種の知られる大きなグループであり、日本にも300種以上が分布しています。そのほとんどは野外に生息しており、林内の朽木や海岸の砂地など様々な環境で生活しています。一部が貯穀害虫になっており、特にコクヌストモドキ類は世界的に重要な食品害虫となっています。ここではコクヌストモドキ以外のゴミムシダマシ類を取り扱います。
 ガイマイゴミムシダマシ、コメノゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、クロゴミムシダマシ、フタオビツヤゴミムシダマシなどが比較的よく見られる種類です。これらは吸湿して変質した穀粒や穀粉、飼料などを食害します。蛹になる前の幼虫が、発生源のそばにあるダンボールなどの資材を穿孔したり、食品に混入したりします。養鶏場の鶏糞から発生することもあり、幼虫が鶏舎の断熱材に穿孔する被害も生じています。なおガイマイゴミムシダマシはハエの天敵としても知られています。
 ガイマイゴミムシダマシやフタオビツヤゴミムシダマシ、およびハムシダマシ科のヒゲブトハムシダマシは、地域によっては、光に誘引されて家屋に飛来し、屋内に侵入することがあります。そのような地域で食品を扱っている場所では、混入異物の心配もあります。

防 除

 他の食品害虫に対する予防策と同様に、乾燥食品は密閉容器などに入れて保管し、食品の滓や粉類の粉が溜まっていたら早めに掃除します。特に、米びつの周辺に米粉やヌカなどが溜まっていて放置していると発生源になりやすいので、日頃よく清掃しておきます。古くなって廃棄すべき食品や飼料を忘れて放置していたりすると、発生源になります。また鶏糞などの肥料も発生源になりますから、早めに使い切ります。
 成虫に対してはピレスロイド系の殺虫剤を噴霧すれば殺虫できますが、薬剤に対して強い虫ですので、しっかりと吹き付けます。虫が発生した食品にはエアゾールを吹きかけてから廃棄し、周辺を清掃します。市販の燻煙剤や全量噴射式エアゾールは、溜まった粉の中にいる虫には効きませんので、よく清掃した後で使用します。隙間などに潜んでいた虫は、這い出してきて床面でノックダウンしますが、殺虫剤にとても強く、数日後に復活することが多いので、仮死状態の虫はすべて清掃して処分します。最も大切なことは、幼虫の発生源を見つけて、処分することです。
 ガイマイゴミムシダマシやヒゲブトハムシダマシなどは光に誘引されて飛来しますから、外から見える照明を暗くしたり、近紫外線をあまり出さない照明に変えたりすると、飛来を抑えることができます。またライトトラップで捕獲できます。