どんな虫にお困りですか?

害虫の特徴と防除

食品の害虫(4) ヒラタムシ

特 長

 甲虫目のホソヒラタムシ科、ヒラタムシ科に属する昆虫は、体長数mmの小型のものが多く、野外では樹皮下などに生息しています。ここでは、これらのグループに属するもので、食品害虫として知られているものを解説します。
 ホソヒラタムシ類(ホソヒラタムシ科)は世界に約450種、日本に24種が知られていますが(佐々治、1985)、食品害虫として最も重要なのはノコギリヒラタムシで、次いでそれによく似たオオメノコギリヒラタムシも時々見られます。
  ノコギリヒラタムシは体長3mm前後の褐色の甲虫で、胸の両側がのこ歯のようにギザギザになっています。小麦粉などの穀粉のほか、ピスケットやチョコレートなどのお菓子類、乾燥果実などを食害します。オオメノコギリヒラタムシも同様な形態ですが、名前のようにやや目が大きいのが特徴です。この種は小麦粉などよりもナッツ類やヒマワリの種子、コプラなどの油原料を特に好みます。
 ヒラタムシ類(ヒラタムシ科)は、世界に約550種、日本に28種が知られていますが(佐々治、1985)、食品害虫としてはカクムネチビヒラタムシ、ハウカクムネヒラタムシ、サビカクムネヒラタムシ、トルコカクムネヒラタムシなどが知られています。いずれの種類も体長2mm前後の赤褐色の甲虫で、非常に扁平な体型をしているのが特徴です。主に穀粉及びその加工食品を食害し、完全な穀粒は通常、食害することはありません。なお、ハウカクムネヒラタムシは乾燥シイタケの害虫としても知られています。

防 除

 購入したお菓子や食品の中やパッケージなどの隙間に潜んでいたものが、家庭の食品収蔵庫に入り込んで繁殖することがあります。長期間にわたって保存する乾燥食品は、密閉性の高い容器に入れて保管します。床の隅や収蔵庫の中などに穀粉や食品がこぼれていたら早めに掃除するようにします。
 保存していた食品に虫が発生していた場合には、虫が逃げないようにビニル袋に入れ、中にエアゾールを噴霧してから密封して廃棄します。食品屑の中に虫を見つけた場合も、エアゾールを噴霧して、虫と共に食品屑を全て廃棄し、その後で発生した場所をよく掃除します。虫が分散している場合には、ノコギリヒラタムシなどのホソヒラタムシ類、カクムネヒラタムシなどのヒラタムシ類は、数mm程度の隙間に溜まった食品屑の中に生息していることが多いので、掃除機で隙間に入り込んだゴミをよく吸い取ります。掃除した後はすぐに掃除機内に溜まったゴミを廃棄します。そして全体を清掃してから燻煙剤または全量噴射型エアゾールを室内に充満させます。
 なお市販のノコギリヒラタムシのフェロモントラップ(捕獲器)はオオメノコギリヒラタムシに対しても有効です。このトラップを設置するとこれらの虫が発生しているかどうかを早期に知ることができます。