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害虫の特徴と防除

シロアリ(1) シロアリ

特 長

 シロアリ類はシロアリ目に属する昆虫の総称で、一般のアリ類の仲間と混同されやすいですが、分類学的にはアリ類よりもむしろゴキブリ類に近縁な昆虫です。
 シロアリは社会生活を営むことが知られ、女王、王、副女王、副王、職アリ(働きアリ)、兵アリなどの階級制度があり、完全な分業を行なっています。有翅虫(羽アリ)は、巣から飛び立ち地上で羽を落として交尾を行ない、新しい巣を作ります。
 シロアリは、アリとは以下の点で区別することができます。
 1.アリは胸部と腹部の間がくびれていますが、シロアリは寸胴型です。
 2.アリの羽アリは、前翅の方が後翅より明らかに大きいが、シロアリでは前翅と後翅が4枚とも同じ大きさです。
 3.アリの触角は「く」の字型ですが、シロアリでは数珠状でまっすぐ伸びています。
 シロアリ類は日本では17種が知られていますが、大部分は野外性の種類で、木造建築物を加害するのは極わずかな種類です。代表的な種類は、日本全土にみられるヤマトシロアリ、関東以南に生息するイエシロアリです。これらは地下を移動して木材を加害するので「地下シロアリ」と呼ばれ「乾材シロアリ」とは区別されています。
 ヤマトシロアリは、地中(地下2m以内)や地面近くの木材などに営巣し、特別な巣を作ることはなく木材の加害箇所が巣となります。多湿なところを好み、一般家屋では台所、風呂場などの水場周りに被害が多く見られます。兵アリの頭部は長四角です。羽アリは4〜5月の雨上がりの晴れた日の昼間に群飛することが多く、走光性はありません。
 イエシロアリは、地中や建築物の中などに塊状の巣を作り、水を運ぶ能力があるので蟻道を作って比較的乾いた木材まで移動して食害することができます。巣の群(コロニー)は100万匹に達する巨大なものになります。兵アリの頭部は卵型です。6〜7月の風のない夕方から夜にかけて数千〜数万の羽アリがいっせいに群飛します。走光性があり、燈火にも飛来します。

防 除

 家屋の周辺や床下などに朽木や木材、ダンボールなどを放置しないようにし、ある場合には直ぐに撤去します。床下の湿気がこもる場合、床下の通気口が塞がっていないかを確認し、場合によっては通気口を大きくしたり、床下換気扇を設置して、床下の乾燥に努めます。
 春先にシロアリ予防スプレーを床下に噴霧しておくと、羽アリ(女王アリ)の侵入や活動を抑えることができます。シロアリの生息が心配されたら、家屋の外周に市販のシロアリ調査用ボックスを埋めて、生息の有無を調べておくと安心です。
 シロアリの蟻道が発見された場合や、前記の調査用ボックスによって生息が確認された場合には、市販のシロアリ用ベイト剤をその近くに設置します。このベイト剤の成分は昆虫だけに作用するIGR(昆虫成長制御剤)を成分としているため、人には安全性が高いものです。
 ヤマトシロアリの場合は、小さな巣が分散しているのでなるべく多くの場所に少量ずつ配置します。イエシロアリの場合には、1つの巣から派生していますから、巣に直結する蟻道にまとめて設置すると効果的です。
 シロアリの羽アリが多数見られた時には、その出現場所を確認して、そこにシロアリ用エアゾールを吹き付けます。出現した場所の近くには巣があるので、その周囲(エアゾール吹き付け部分を避ける)に市販のシロアリ用ベイト剤を設置します。ベイト剤を食べた職アリは、これを少しずつ巣に運んで多くのシロアリに分配しますから、数ヶ月すると巣は壊滅します。時間はかかりますが、シロアリを巣ごと駆除できるメリットがあります調査用ボックスを設置すると、巣が壊滅したことが確認できます。
 被害が大きくて手に負えない場合には専門業者に相談します。建築物の基礎の土壌にシロアリ用の土壌処理剤を処理し、さらにシロアリ用の木材保存剤を木材表面に噴霧または刷毛塗りし、木材にドリルで孔をあけて薬剤を注入します(土壌処理と木部処理)。または前記と同様のベイト剤を多数設置します。時間はかかりますが、シロアリを巣ごと駆除できるメリットがあります。