どんな虫にお困りですか?

害虫の特徴と防除

ゴキブリ(1) チャバネゴキブリなど

特 長

 ゴキブリ類(ゴキブリ目BLATTARIA)は3億8千年前に地球上に出現した古い系統の昆虫で、形態的に大きな変化をしないまま、現在もたくましく繁栄している昆虫です。ゴキブリの語源は「御器囓り」で、蓋付きお椀に齧りつく虫という意味であり、よく台所の食器周辺で活動していることに起因しています。明治22年に出版された「中等教育・動物学教科書」(飯島魁 著)で、「飛蠊」という漢字にゴキカブリではなく、ミスプリントでゴキブリとルビを振ってしまったのが、この名前の始まりであるとされています。
 日本には、外来種のチュウトウゴキブリとコガタドクロゴキブリ、および2014年に記録されたフタホシモリゴキブリを含めて、現在57種のゴキブリ類が分布しています。このうち屋内で害虫となっているのはチャバネゴキブリ科とゴキブリ科に属する種類です。このうち屋内で害虫となっているのはチャバネゴキブリ科とゴキブリ科に属する種類です。
 それらの中でも、チャバネゴキブリ科のチャバネゴキブリは、ビルの飲食店などで最もよく見られる種類です。成虫の体長が10〜158mmの小型のゴキブリで、体は黄褐色で前胸背に細長い黒紋が1対あります。屋内だけに生息し、飛ぶことができません。全国の飲食店、病院、ホテルの調理場、あるいは新幹線や飛行機の中にまで見られ、空調設備の整った暖かい環境に生息しています。チャバネゴキブリなどのゴキブリ類は、食中毒菌をはじめ各種の病原微生物を体表面や脚、排泄物などを通じて伝播することが知られています。また食品への混入事故や、電気機器類に多数侵入して故障などを引き起こします。またこれらの死骸や糞はアレルゲンであり、吸い込むとアレルギー性喘息などの原因にもなります。
 チャバネゴキブリ科に属する他の害虫としては、キョウトゴキブリがあります。体長15〜18mm、体は全体的に光沢のない茶褐色で、幼虫も全体が濃茶褐色です。新潟県・宮城県以南のビルや工場で時々見られます。
 チャバネゴキブリと非常によく似た種類にモリチャバネゴキブリがあり、福島県以南の野外に生息しています。飛ぶことができ、時に屋内にも侵入することがありますが、屋内で繁殖することはないようです。

防 除

 屋内で繁殖させないためには、残飯や厨芥などをきちんと片付けて、清潔に保つことが何よりも大切です。台所に夜間生ゴミを放置せず、コンロの周辺や排水カゴについた食べ物かすは定期的に掃除するようにします。
 ゴキブリが生息している場合には、良く目につく場所を探したり、粘着トラップをいろいろな場所に配置して、多く捕れる場所を知っておくと、その後の殺虫対策に生かすことができます。冷蔵庫やガス台、電気機器の周辺など、比較的暖かな箇所に集まる傾向があります。
 時々見かける場所には、粘着トラップあるいは固形の食毒剤を設置します。虫を見つけたら殺虫剤のエアゾールを直接噴霧すると即効的に殺虫できます。ただし食毒剤や粘着トラップを配置した場所にエアゾールを吹き付けると、そこにゴキブリが寄り付きにくくなるので、あまり好ましくありません。多数生息している場合には市販の燻煙剤を使用します。燻煙剤で全滅させるのは困難ですが、即効的に少なくすることができます。捕獲器や食毒剤はある程度少ない状態の時に使用すると効果を発揮します。粘着トラップ1個当りに、毎日1匹ずつの割合で捕獲される程度に発生していた場合には、専門の駆除業者に相談されることをお勧めします。

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